大入りを願う「まねき書き」 11月から吉例顔見世興行・南座

大規模改修がいよいよ完了し、3年振りに京都・南座で行われる京の冬の風物詩「吉例顔見世興行」。その建物正面に飾られる歌舞伎役者の名前を記した看板の「まねき書き」が妙傳寺で行われました。


この独特の書体は「勘亭流」と言い、江戸時代に岡崎屋勘六によって考案された書体。太く丸く隙間なく書くことで、劇場の隅々まで大入りになるようにとゲン担ぎの意味があります。


筆を持つのは、まねき書きの伝統を受け継ぐ「勘亭流」の書家・井上優(まさる)さん。一気に筆を動かしたかと思えば、一度書いたところにもう一度筆を走らせ、太くしたり丸くしたり。長さ1間(約1.8m)、幅1尺(約30.3㎝)、厚み1寸(約3㎝)のヒノキ板の上に、どんどん形になっていく文字がこうやって描かれるんだとは知りませんでした。


墨の横に置かれている日本酒は、祝い酒の意味と墨に照りを出すために入れるんだとか。どうりで文字にツヤがあるわけです。

今年は南座400周年の節目でもあり、通常より1カ月早く11月から2カ月間行われる「吉例顔見世興行」。11月1日~25日には二代目松本白鸚、十代目松本幸四郎、八代目市川染五郎の高麗屋三代襲名披露があり、12月は演目と配役を変えて実施されます。つまり、まねき上げも今年は2回。2度楽しめるんです。粋な演出はほかにもあって、南座では現在、夜10時までライトアップも実施中。ぜひご覧ください。

【京都・南座】
京都市東山区四条通大和大路西入る中之町 198

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