【拝観レポート】2019年秋の注目イベント「京都山科非公開文化財等の特別公開」


2019年秋の初開催イベント「京都山科非公開文化財等の特別公開」。天皇陛下御即位記念として皇室ゆかりの寺院を中心に特別公開が行われます。

公開される5つの寺院のうち

・天台宗五箇室門跡のひとつで紅葉名所「毘沙門堂」
・通常非公開、貴重な仏像を有する古刹「安祥寺」

の2寺院を拝観させていただきました。
※掲載写真の一部は今回の取材で特別に撮影させていただいたものです

●まずは毘沙門堂へ

勅使門前の「敷きもみじ」が有名な毘沙門堂。

創建は平安時代の703年。文武天皇の勅願で京都市上京区の出雲路という地域に建立されました。出雲路は京都御所の北側で賀茂川の西側あたりの地域。その後、平治の乱や応仁の乱など度重なる戦乱によって焼失と再興を繰り返します。波乱万丈の歴史をたどってきたんですね。

御本尊の毘沙門天は秘仏。比叡山延暦寺根本中堂のご本尊薬師如来像をつくった際の余材を使い、天台宗開祖の最澄がつくられた御本尊と伝わります。高さ8cmほどの像だそうです。御開帳がされない分、絵図でそのお姿を確認。

毘沙門堂が特別公開する寺宝は霊殿にて展示。写真手前の歴史を感じる旗が「親王旗」、その奥が「亀甲簾」です。

毘沙門堂は「天台宗五箇室門跡」のひとつ。皇族や摂関家が門主(いわゆる住職)を務めた門跡寺院です。江戸中期に作成された「親王旗」は輪王寺宮が門主を務めていた時代、江戸へくだる際に道中行列の先頭に立てた旗。亀甲簾は古来より縁起の良い亀甲紋を織り込んだ江戸中期の製作と考えられている貴重な御簾。

ガラス越しなどではなく、間近で見学できます。ぜひ現地でご覧ください。

毘沙門堂といえば見る角度によって絵が変化する「動く絵」でも有名です。たとえば江戸期の画家・狩野永叔主信筆の天井龍。見る位置が変わると、龍の目や顔の向きが変化します。

列をなして天井を見上げながら龍の絵の下をぐるぐるまわる取材班。
「動いた!」「おお!」「すごい!」
大人に童心を思い出させてくれる、さながらアトラクションのようです。

ほかにも宸殿の襖絵や円山応挙の鯉の絵など、堂内には動く絵が盛りだくさん。様々な絵が拝観できるので、美術館に来たような気分になれます。



●つづいて安祥寺へ

毘沙門堂を背に坂道を下りると、山科疏水に行きつきます。ここを右折して疏水のほとりを歩いていくと進行方向右手に見えてくる寺院が「安祥寺」です。

通常は非公開。普段は柵の門で入口は閉ざされているため、このお寺が1000年以上の歴史を持ち、国宝の仏像を有する寺院だということを知らないまま通り過ぎている人も多いかもしれません。

じつは2019年の春、はじめて特別公開を実施された「安祥寺」。なんと1万人を超える人々が拝観に訪れたそうです。たくさんの人が参拝に訪れて「御本尊もさぞ驚かれたことでしょう」とはご住職談。

その御本尊は金色に輝く十一面観音立像。奈良時代につくられた榧の木の一木造りで、比較的シュッとした体型の仏様です。このお姿を見て「この仏像が国宝ではないなんて…」とおっしゃる方もおられたとか(御本尊は重要文化財です)。

「安祥寺」が有する国宝の仏像は「五智如来坐像」。令和元年に国宝指定されました。
境内の多宝塔に安置されていましたが、明治時代に火事で多宝塔を焼失。火事が起きたとき「五智如来坐像」はすでに京都国立博物館へ寄託されていたので仏像は災禍を免れました(仏像は現在も博物館に寄託)。御本尊を祀る観音堂内には多宝塔があったころの絵図や「五智如来坐像」の写真が飾られています。

境内では多宝塔跡地が見学できます。建物跡に生える苔や草木、のこされた石垣。かつてここに多宝塔があり「五智如来坐像」がいらっしゃったのだなあと思うとしみじみします。

ほかにも境内では、江戸時代の古いお堂で平安期~江戸期の貴重な仏像が拝観できます。

嘉元4年(1306年)の銘が入った秀吉ゆかりの梵鐘も見学できます。取材時は梵鐘周辺で青もみじが揺れていました。赤く染まる頃もキレイでしょうね。

「京都山科非公開文化財等の特別公開」は、毘沙門堂・安祥寺のほか、本圀寺・勧修寺・隨心院と合わせて5ヶ寺で実施されます。5寺院をめぐるスタンプラリーも行われますよ。

歴史、仏像、紅葉と様々な楽しみが待っている特別公開。
2019年の秋はぜひ山科で「とっておきの京都」をお楽しみください!

【山科の観光情報】

●とっておきの京都プロジェクト
https://totteoki.kyoto.travel/
●おこしやす“やましな”協議会
http://www.okoshiyasu-yamashina.jp/

2019年秋の注目イベント「京都山科非公開文化財等の特別公開」初開催


京都には国内外に有名なスポットが多数ありますが、まだまだ広く知られていないエリアがあります。そんな魅力ある観光スポットを紹介しようと

とっておきの京都~定番のその先へ~

というプロジェクトが京都市で始まりました!
プロジェクトの対象エリアである「山科」で、2019年の秋に行われるのが天皇陛下御即位記念「京都山科非公開文化財等の特別公開」です。

●山科ってどこ?

京都市の東側に位置する山科区は、滋賀県など東側から京都へ来る時の玄関口。交通が便利な立地でもあることから住宅街が広がる一方、京扇子や京仏具、清水焼といった京都が誇る伝統産業の生産団地を有し、近年は琵琶湖疏水を船で楽しむ「びわ湖疏水船」が区内を運航。歴史と伝統が息づく自然豊かなエリアです。

そして、様々な歴史的有名人とゆかり深い史跡も多く点在している地域。
皇室と関わりある場所も多いことから、今回は皇室ゆかりのお寺を中心に特別公開が行われます。

●いつ行われるの?

2019年11月16日(土)~12月1日(日)です。
自然豊かな山科の紅葉で色づく季節に行われます。

●特別公開されるのはどこ?

合計5つの寺院で特別公開が行われます。

▼毘沙門堂

秋は勅使門前の「敷きもみじ」をはじめ、襖絵や庭園など見どころ多数。天台宗五箇室門跡のひとつとして皇室ゆかりの「親王旗」「亀甲簾」を特別公開。

▼本圀寺

鎌倉時代に創建され、勅願道場として歴史を重ねてきた寺院。今回の特別公開では室町時代に8代将軍・足利義政により寄進された、重要文化財の経蔵内部を公開。582個の引き出しを持つ八角形の輪蔵は必見。

▼安祥寺

平安時代に創建された皇室ゆかりの寺院のひとつ。通常非公開寺院。「この仏像が国宝でないなんて」と一般参拝者に言わしめた御本尊「木造十一面観音立像」をはじめ「四天王立像」など一挙公開。

▼勧修寺

平安時代、醍醐天皇によって創建された勅願寺。境内には御所から移築された建物も残ります。土佐派が描いた「近江八景図」「竜田川紅葉図」の書院障壁画を特別公開。

▼隨心院

小野小町ゆかりの門跡寺院。小町ゆかりの史跡が残るほか、秋は庭園の紅葉も楽しめます。孝明天皇寄進の「扇面蒔絵硯箱」と仁孝天皇寄進の「四枚折屏風(唐桑緑硝子張)」を特別公開。

●モデルコース①≪1日でまわりきる!≫

山科駅→(徒歩15分orタクシー5分)→毘沙門堂→(徒歩10分)→安祥寺→(徒歩30分)→本圀寺→(徒歩10分)→地下鉄御陵駅→(地下鉄9分)→地下鉄小野駅→(徒歩6分)→勧修寺→(徒歩8分)→隨心院

この5箇寺の中で最北に位置し、1番早く開門する毘沙門堂(8:30~)からスタート。毘沙門堂からは坂道をくだって山科疏水沿いの散策路に入り、安祥寺・本圀寺をめぐってから地下鉄に乗って勧修寺・隨心院の最寄り駅「小野駅」へ行くルートです。山科駅から毘沙門堂は登り坂のため、足腰が心配な方はタクシーがおすすめ。

ランチは山科駅や京都駅でパンを買っておいて、山科疏水沿いで食べるのもいいかもしれません。つかの間のピクニック気分が楽しめます。
※参考:山科駅近くのパン屋さん「ベーカリーHAYASHI

●モデルコース②≪びわ湖疏水船と一緒にめぐる!≫

ちょうど特別公開期間中、京都蹴上~滋賀大津間を近代遺産クルーズ「びわ湖疏水船」が運航。大津9:30発の便であれば、山科で途中下船することができます。
朝、大津に入って船に乗り、山科で降りて周辺の寺院を散策。翌日は、地下鉄小野駅にある勧修寺・隨心院をめぐる…なんていうプランはいかがでしょうか。
この場合、京都市営地下鉄・市営バス・京都バス(一部路線除く)・京阪バス(一部路線除く)が連続2日間乗り放題になるチケットを使うのも便利ですよ。

●山科へのアクセス(参考)

▼京都駅からの場合
・JR琵琶湖線で山科駅まで5分
・地下鉄烏丸線で烏丸御池駅、東西線に乗り換え山科駅まで18分
※乗換時間は含まない

この秋注目の山科の特別公開。
そのうちのいくつかを拝観させていただきました。
次の記事ではその拝観レポートをお届けします!
>>2019年秋「京都山科非公開文化財等の特別公開」拝観レポート

【山科の観光情報】

●とっておきの京都プロジェクト
https://totteoki.kyoto.travel/
●おこしやす“やましな”協議会
http://www.okoshiyasu-yamashina.jp/

※記事内の所用時間は目安です

10/1オープン福田美術館【嵐山】京都ゆかりの作品多数、写真撮影もOK


渡月橋北側の通りを少し西に進んだところにある、人気のコーヒー店「% ARABICA Kyoto Arashiyama」の北側にオープンした「福田美術館」。2階建てのモダンな建物の中には3つのギャラリースペースが設けられ、所蔵品の数々が展示されています。

この美術館の特徴はなんといっても京都ゆかりの作品が多いこと。そして写真撮影がおおむね可能で、SNSへのアップもOKということ。その自由度の高さが好奇心を掻き立てるのです。

ギャラリースペース1では、竹内栖鳳や木島櫻谷(このしまおうこく)、上村松園、橋本関雪など近代京都画壇の作品を展示。迫力のある動物画から墨で描かれた大作など、間近で見る作品に圧倒されます。

ギャラリー2で観られるのは江戸時代に描かれた日本画。葛飾北斎、伊藤若冲、与謝蕪村、円山応挙、尾形光琳などの大家の作品が勢揃い。作品ごとに書かれたキャッチコピーは見どころが示されていて興味深い内容です。

ギャラリー3は西洋画を複数展示しているパノラマスペース。シャガールなど油絵の筆のあとがくっきり見えます。

館内通路から見える見晴らしのいい外の景色も楽しみ。
1Fのショップでは図録などを販売。同じく1Fの奥にはカフェスペースが設けられ、エスプレッソなどを飲みながらゆったりくつろぐことも可能です。

10/1(火)~2020年1/13(月・祝)は嵐電とタイアップし、嵐電の車体や社内を福田美術館の作品などで装飾した「走る美術館」車両も走行。
作品の数々とあわせてぜひお楽しみください。

▼福田美術館
京都市右京区陽区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16

▼開館時間
10:00~17:00

▼休館日
火曜日(祝日の場合は翌日休み)、ほか展示期間、年末年始

▼入館料
一般・大学生1300円
※福田美術館・嵯峨嵐山文華館 2館共通券2000円
(嵯峨嵐山文華館は近隣の美術館)

https://fukuda-art-museum.jp/