1952年に京都で創業し、2022年で70周年を迎える「小川珈琲」が、2022年2月11日に新店「小川珈琲 堺町錦店」をオープンします。場所は錦市場のすぐ近く。京都のまちなか、堺町錦上ルの東側にある京町家です。
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価値ある本物の味を、真心とともに届けたい。その想いを胸に歩んできた「小川珈琲」。90年代半ば頃からは、今でいうサステナブルな活動にも力を入れてきました。今後はそういった活動をより深め、伝えていく必要があると考え、新店「小川珈琲 堺町錦店」のテーマを「100年先も続く店」とし、コーヒーを通じて持続可能な社会に貢献しながら、お客様にそれを体感してもらおうという店づくりを行われています。
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「小川珈琲 堺町錦店」で用意するコーヒーは、「GRANCA(グランカ)」という名を冠した8種類。使用する豆も有機栽培でフェアトレードされるなど、エシカルなものばかりです。
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抽出方法は繰り返し器具が使える「ネルドリップ」を「小川珈琲」として初採用。オーガニックコットンのフィルターを使い、ネルドリッパーもオリジナルで用意。コーヒーのしっかりとした濃い味わいを引き出しながらも、飲み飽きないマイルドさを併せ持った一杯に仕上げています。カフェインレスもありますよ。
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エスプレッソドリンクも種類豊富にそろえています。エスプレッソマシンは日本にまだ1台しかないというドイツ製の機材を導入しているそう。また、和束産のお茶や白味噌、八ッ橋など、京都の食材を使った個性派ドリンクもあるので、コーヒーが飲めない人でも楽しく利用できそうです。
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店内奥にはパン工房を設け、毎日食べても飽きのこない自家製食パンを使ったメニューがどの時間帯でも楽しめます。
食パンの開発を手がけたのは「ル・プチメック」の創業者である西山逸成氏。京都府丹波で収穫された小麦を使い、独自レシピで開発されました。西山氏が「これ以上のものは作れない」と言ったオリジナル食パンです。
食パンの種類は2種類。京都産小麦食パンと全粒粉配合の食パンです。
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上の写真は京都産小麦食パン。全粒粉食パンは京都産小麦と国産全粒粉を使用し、全粒粉の配合率は35%ほどとのこと。
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店内では炭火オーブンでトーストするため、香ばしい焼き色と香りが楽しめます。炭もなるべく京都産を使用しているそうです。
京都産小麦食パンはふんわりしっとり、そしてもっちりとしつつも歯切れのよい一枚。毎日食べても飽きがこないというコンセプトにうなづける味わいでした。全粒粉食パンは全粒粉の風味とともに、京都産小麦食パンよりももっちり感が強め。もっちり好きか、ふんわり好きか、全粒粉の風味があるほうがいいかどうかで好みがわかれるところだと思います。
トーストと一緒にいただくバターは「糀バター」。牧草だけで飼育された牛からとれる「グラスフェッドバター」に、京都の老舗「佐々木酒造」の米麹を合わせています。すっきりとしたほのかな甘み。ぜひたっぷりつけて頬張ってみてください。
モーニングタイムはこの糀バターをはじめ、あんバター、季節のコンフィチュール、スープ、サンドイッチなど、様々なメニューで自家製食パンが満喫できます。
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ランチタイムはハンバーグやグラタンと一緒に食べたり、クロックムッシュ仕立てのピザトーストやフレンチトーストで楽しめますよ。なお、料理の監修は、数々の人気店を手がけてきた「シェルシュ」の丸山智博氏です。
「小川珈琲 堺町錦店」ではイートインだけでなく、テイクアウトのほか、コーヒー豆や食パン、グッズも販売しています。店頭のショーケースには、コーヒータンブラーやベーカリー用ナイフ、食パンをいれるかご、エコバッグなど、シンプルなデザインで長く使えそうなアイテムが並んでいるのでチェックしてみてくださいね。
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そんな「小川珈琲 堺町錦店」の建物は、築100年以上の京町家をリノベーションした歴史ある建築物です。
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色数を抑え、シックながらもカジュアルさを備えた雰囲気は、老若男女が寛げそうな空間に仕上がっています。吹き抜けのエントランス。中央にキッチン。アートな坪庭の奥にもイートインスペースを用意。
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奥の客席フロアの壁には格子窓のような細長い窓が備え付けられています。その窓をのぞき込むと、食パン工房が垣間見えました。工房内には銀色のパン型や大きなオーブン、そして作業中のパン職人さんの姿が。子どもにも人気が出そうな窓です。
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「小川珈琲 堺町錦店」には2階もあります。おひとりさまがのんびりできそうな客席フロアを設けつつ、イベントスペースも用意。様々な展示やワークショップを展開していく予定で、オープニングイベントでは「民藝」をテーマに様々な器が並びます。
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世代を問わず、寛ぐことができそうなカフェ「小川珈琲 堺町錦店」。コーヒーや食パンをただ満喫するだけでなく、それぞれに込められたストーリーや想いを感じながら、過ごしてみてはいかがでしょうか。
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●オープニングイベント
「今も続く民藝との共鳴」
会期:2022年2月11日~20日
作家:河井寛次郎、舩木道忠、舩木研兒、金城次郎 (陶芸・物故作家)
掛谷康樹、齊藤十郎、島岡桂、⻄持田窯(陶芸)
垣内信哉(硝子)、松﨑修(木工)、須浪亨商店(いかご)
内容:小川珈琲が誕生する25年ほど前に起きた民藝運動。本展では、“「今もなお人々の心を打つ、健やかな美しさ」を伝える”をコンセプトに、京都と所縁の深い河井寛次郎や人間国宝としても知られる金城次郎の作品を始め、民藝の美や考え方から影響を受けた現代の作家たちの作品をセレクト。