都をどりレポート2015【前編】

2015年4月1日(水)~30日(木)にかけて開催されている
花街・祇園甲部の春の舞踊公演「第143回 都をどり」に行ってきました。

今回は

・2015年度の演目の感想
・開演前のたのしみ
・チケットはそもそもどう買うの?

という点を前後編に分けてご紹介していこうと思います。

【2015年の都をどりはこうでした】

2015年は「琳派400年記念祭」ということで「花都琳派染模様(はなのみやこりんぱそめもよう) 」と題された都をどり。いいとこスタッフの席は前から5列目。となりの席は欧米人のカップルで、なんとノースリーブ。一方スタッフはもこもこのニットカーディガン。カルチャーショック(?)を受けつつ開幕のときを待ったのでした。

演目のラインナップはこちら。

第一景: 置歌(おきうた)
第二景: 上賀茂社梅折枝(かみがもしゃうめのおりえだ)
第三景: 西王母三千歳桃(さいおうぼみちとせのもも)
第四景: 三河八橋燕子花(みかわやつはしかきつばた)
第五景: 源頼光土蜘蛛討(みなもとのらいこうつちぐもうち)
第六景: 光悦寺紅葉尽(こうえつじもみじづくし)
第七景: 新口村雪道行(にのくちむらゆきのみちゆき)
第八景: 平野社桜花絵巻(ひらのしゃさくらばなえまき)

※1日4回公演(12:30、14:00、15:30、16:50)

置歌
「都をどりは、ヨーイヤアサー」の掛け声ではじまる都をどり。今回「都をどりは…」と声がした瞬間、近くに座っていた観客席の誰かが「きた!」とつぶやくのが聞こえました(笑)そして「「ヨーイヤアサー」」とどこかおぼこい舞妓さんたちの声で開幕。この時、舞妓さんたちが着ているブルーの着物に注目。毎年あつらえている揃いの衣装なんですよ。肩回りの「しだれ桜」模様は、八坂神社の氏子の証として毎年同じ文様が使われているんだとか。舞台の脇では生のお囃子演奏。音楽の力強さをじかに感じることができます。

上賀茂社梅折枝
2015年、上賀茂神社と下鴨神社は式年遷宮の年にあたります。白砂の参道と両側に広がる芝生に梅の花、そして境内を流れるならの小川が表現された舞台。上賀茂神社の広々とした参道を歩いた時のことを思い出させてくれるような舞台でした。

西王母三千歳桃
琳派絵師・尾形光琳の「西王母図」にちなみ、中国の宮廷を舞台とした演目です。西王母は、中国で信仰されている仙人。琳派の画家にも好んで描かれたモチーフだそうです。食せば3000年生きることができるという仙桃を持って現れる西王母。古代中国をおもわせる衣装や髪型にも注目です。舞台背景で、花のまわりをパタパタ飛ぶ蝶々や大きな仙桃といった小道具も気になりました。こういった小道具類も近くで見物してみたいなあと思いました。

三河八橋燕子花
尾形光琳の「八橋図屏風」。この前で芸妓さんと舞妓さんが競演します。視線の動き、首の動きなど、さりげない所作に色気を感じる舞台でした。あのつややかさは日本人ならではかもしれません。

源頼光土蜘蛛討
「土蜘蛛」は、武士・源頼光による土蜘蛛退治の話です。今までの演目とは一転、勇ましい動きや小道具、照明の演出が披露されます。蜘蛛の柄の帯を締めた土蜘蛛さんが糸をはなち、イナバウアーの如く倒れる侍女、太刀で華麗に戦う源頼光、天から現れた目の光る蜘蛛…見所尽きない舞台です!土蜘蛛は壬生狂言などでも演じられていますね。そういったものと見比べて、表現の違いを楽しむのも面白いかもしれません。

光悦寺紅葉尽
観客席から「わあ」っと歓声があがった美しい紅葉の舞台。紅葉の名所「光悦寺」は、琳派のはじまりとされる本阿弥光悦が草庵を結んだ場所です。現在の京都は桜も終盤に差し掛かったところですが、紅葉狩りを楽しんでいる気分になりました。

新口村雪道行
近松門左衛門作の浄瑠璃「冥途の飛脚」が題材。真っ白な雪に埋もれた村に行きつく男女。黒地の着物が舞台に映えます。今までの華やかさとは違い、シンプルながらも凛とした舞台で魅せられる演目でした。ちなみに、「冥途の飛脚」がどんなストーリーなのかを検索してみたのですが「れ、恋愛って怖いなあ…」という…!

平野社桜花絵巻
最初は平野神社の美しい夜桜の演出ではじまり、パッと舞台が明るくなって華やかな桜の舞台が登場します。比翼春日造といわれる平野神社の社殿の前で繰り広げられるフィナーレの踊り。わずかな時間でしたが、夜桜の演出がとても印象的でした。

舞踊そのものだけでなく、舞台美術、音楽、衣装など、耳と目から感じられる芸術的見所がいっぱいの舞踊公演。幕を下ろすことなく流れるように演目が変わっていく演出も見ていて飽きません。日本の舞に対して「昔のもの」「伝統的で分かりにくいもの」といった印象を持っている方ほど、一度見てみればイメージがガラっと変わるのではないでしょうか。

それでは次の後編では、

・開演前のたのしみ
・チケットはそもそもどう買うの?

をご案内したいと思います。

関連記事

都をどりレポート2015【後編】
https://kyoto.graphic.co.jp/blog/archives/22668
都をどりレポート2014
https://kyoto.graphic.co.jp/blog/archives/16361
春の舞踊公演2015まとめ
https://kyoto.graphic.co.jp/blog/archives/21785
舞台裏も拝見!京おどりに子どもたちを招く会開催
https://kyoto.graphic.co.jp/blog/archives/22222

よかったらシェアしてね!
目次
閉じる