10月の京都は、京都三大祭のラストを飾る「時代祭(じだいまつり)」の季節です。最大のハイライトは、10月22日に行われる時代風俗行列。約2千人もの人々が時代ごとの衣装や道具を身にまとい、京都御苑から平安神宮までの道のりを威風堂々と練り歩きます。
※時代祭の歴史についてはこちらの記事をご覧ください

現代によみがえる「動く歴史絵巻」
時代祭の行列は、知事・市長らが務める「名誉奉行」の列を先頭に、明治維新から延暦時代までの歴史を、現代から過去へと遡る順番で構成されているのが特徴です。

明治28年(1895)のはじまり以降、少しずつ時代や行列が拡充され、現在の壮大な規模となりました。
時代祭の主な行列構成
▼明治維新時代
維新勤王隊列

維新志士列(坂本龍馬、吉田松陰、桂小五郎など)
▼江戸時代
徳川城使上洛列
江戸時代婦人列(和宮、吉野太夫、出雲阿国など)

▼安土・桃山時代
豊公参朝列
織田公上洛列
▼室町時代
室町幕府執政列 (足利将軍、細川氏、山名氏など)
室町洛中風俗列

▼吉野時代
楠公上洛列(楠木正成など)
中世婦人列(淀君、静御前など)
▼鎌倉時代
城南流鏑馬列
▼藤原時代
藤原公卿参朝列
平安時代婦人列(清少納言、紫式部、小野小町など)
▼延暦時代
延暦武官行進列(坂上田村麻呂など)
延暦文官参朝列
▼神幸列
神饌講社列
前列(雅楽の演奏や舞人など)
神幸列(桓武天皇・孝明天皇の御神霊を遷した御鳳輦など)

総長
列奉行
白川女献花列
弓箭組列(行列の最後尾を護衛)
今回の記事では、大河ドラマなどでも話題を集める戦国武将たちが主役の「安土・桃山時代」の列に注目します。
「安土・桃山時代」列の特徴
安土・桃山時代は「豊公参朝列(ほうこうさんちょうれつ)」と「織田公上洛列(おだこうじょうらくれつ)」の2列で構成。その名の通り、豊臣秀吉と織田信長の時代がテーマです。
各列からは、戦国の世を駆け抜けた人々のエネルギーを映し出すかのような、凛とした勇壮さや華やぎが感じられます。
「豊公参朝列」の主な見どころ

豊臣秀吉と淀君(茶々)の子・秀頼の、慶長元年(1596)の初参内(朝廷へ参上すること)や、慶長2年(1597)の元服に伴う参内に際する盛大な一行の様子を表しています。
▼最高級の牛車

ギーギーと音を立てて進むのは、「檳榔毛唐庇車(びんろうげからひさしぐるま)」と呼ばれる最高級様式の牛車。庇(ひさし)からは、屋根に葺かれたヤシ科の植物・ビロウの葉が垂れています。
時代祭の牛車には誰も乗っていないようですが「幼い秀頼や秀吉が乗っていたのかも?」と往時の盛大な行列を想像しながら見学できるのも時代祭の醍醐味です。
▼五奉行の特別な装い
時代祭の行列には豊臣政権の実務を担った「五奉行」(前田玄以、石田三成、浅野長政、増田長盛、長束正家)が登場します。朝廷へ参上するその日だけ特別に許された、風雅な衣冠装束姿が見どころです。

「織田公上洛列」の主な見どころ

永禄11年(1568)、正親町(おおぎまち)天皇の要請に応じた織田信長が、朝廷の使者・立入宗継(たてりむねつぐ)に京の粟田口で迎えられて上洛した際の様子を再現。信長は「応仁の乱」以降、衰退していた京都の復興や皇居の修理に努めたといわれています。
▼当時最先端の武具
鉄砲が伝来し、戦術が大きく変化したといわれる時代。鉄板を取り入れて防弾性を高めるなど、実戦用に進化した「当世具足(とうせいぐそく)」と呼ばれる甲冑姿が見られます。馬の足音とともに進む武将たちの凛とした装いは必見です。
▼個性が光るデザイン

行列には、織田信長をはじめ、羽柴秀吉、柴田勝家、丹羽長秀、滝川一益といった武将たちが馬に乗って登場。それぞれの個性が際立つ兜飾りや、馬印(戦場で本陣を示す標識や旗のようなもの)のデザインにも注目です。

時代を映す歴史装束
天下一統を目指す武士たちが歴史の主役となり、貿易を通じて海外の文化や技術が流れ込んだ安土・桃山時代。勇壮かつ華やかで個性的な装いは、そんな時代の特色を映しているかのようです。
時代祭の魅力のひとつは、厳密な時代考証によって再現された装束や道具をじかに見学できること。衣装はもちろん、馬具や人々が手に持つ道具類など細部までじっくり目を凝らしてみてください。歴史の息吹がより鮮やかに感じられるはずです。
■平安神宮
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