知恩院の三門をくぐり、男坂をのぼりきった先に現れる大きなお堂が国宝「御影堂」です。
江戸初期に火災で焼失するも、徳川家光公によって寛永16年(1639年)に再建されました。
このお堂を半解体して行う大修理が、平成24年から行われています。
瓦をはずすので、雨風から守るための素屋根が取り付けられており、
外からは「御影堂」がどんな様子なのかまったく分かりません。
ですが、毎月第1日曜日に修理現場の見学会が行われ、この中を見ることができます。
いったい「御影堂」がどんなふうになっているのか…先日、見学にいってきました!
内部の様子を眺めながら階段を4階まであがります。
4階まで上がりきると、瓦の降ろされた御影堂の屋根と視線が同じに!
ダイナミックな光景を目の前にした見学者からは、「おお~」「うわ~」と感嘆の声があがります。
半解体しての大修理。長年の雨風で傷んでいる部分だけを
取り除きながら修復していくそうです。
約9万枚使われているという瓦も、1枚1枚金槌で叩いて傷みを確認。
再使用できるものは残していきます。
こんなふうに、実物やパネルを見ながら、修復作業のこと、
パーツや構造のことを知恩院の職員さんにご案内いただきました。
さらに、実際に使われてきた瓦と、今回の修理で新しく使う瓦も展示されていました。
手前が新瓦なんですが、なぜくぼみがあるのか…見学時に聞いてみてください。
瓦の重さを体感することもできます。
この重みが9万枚分のっているのかと思うと、
それを支える木材たちを労いたい気持ちでいっぱいになりました。
修復した御影堂に行くときは「がんばれ…!」と柱に話しかけてしまいそうです。
瓦が何キロなのかは、見学会で実際に持って当ててみてくださいね。
そして私が気になっていたことを職員さんに尋ねてみました。
「忘れ傘は、今どうなっているんですか?」
御影堂正面の軒裏にある和傘。
いわれは諸説ありますが、知恩院七不思議のひとつで「忘れ傘」と呼ばれ、
参拝客が必ず見上げていく御影堂の名物でした。
忘れ傘は大変古いもので、触れると破損する恐れもあり、
こうやって工事が進む今も、軒裏に置かれたままになっているそうです。
見学場所からその様子をじかに見ることはできませんが
上写真の赤丸あたりに今もあるんだなあと思うと、感慨深いものがありました。
ちなみに現在、瓦志納も行われています。
志納者には、御影堂の古材でつくった御念珠が授与されるそうですよ。
瓦志納の申し込みの詳細はこちらをごらんください。
https://www.chion-in.or.jp/13_mieido_daishuri/kawara.html
御影堂は平成31年の完成を目指して修理中です。
見学会に何度も参加し、その変遷を楽しんでいる方もいらっしゃるそうですよ。
今しか見られない国宝の内部。この機会に足を運んでみてはいかがでしょうか。
▼修理現場見学の方法▼
開催日:毎月第一日曜日(年始のぞく)
開催時間:12時~/14時~(1日2回開催・各回30分)
定員:50名(申し込み順)
受付場所:御影堂前 瓦志納所
予約:御影堂修理事務局 TEL075-531-2241 FAX075-531-2388
http://www.chion-in.or.jp/13_mieido_daishuri/kengakukai.html
※見学できるのは平成28年末頃までの予定。
※工事や行事などの状況により見学できないこともあります。