京都・七条| 女坂の途中に佇む「カスガ東林書房」、本×ジェラートで「本と人」「街と人」をつなぐ

京都国立博物館のほど近く、智積院(ちしゃくいん)と妙法院の間にのびるなだらかな坂道。ここは、京都女子大学などの学生さんたちが日々行き交う通学路であることから「女坂(おんなざか)」と呼ばれるエリアです。

人気のイタリアンや洋食店が並ぶ坂道をのぼっていくと、神社の鳥居が見えてきます。その50メートルほど手前で、右手に現れるのがナチュラルな雰囲気の建物。カフェや雑貨屋さんのように見えますが、中を覗き込むと壁際の棚に本がずらり。

どこか懐かしくも可愛らしい雰囲気の店構え。

ここが、2026年8月に創業100周年を迎えた老舗書店「カスガ東林書房」です。

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人生の転機で決めた、大正時代から続く本屋の継承

創業は大正15年(1926)。地域の学校へ60年以上にわたって教科書を届けてきた本屋さんでもあり、現在は4代目店長の高瀬駿太さんが中心となってお店を切り盛りしています。

4代目・高瀬駿太さん

創業当時は、五条通と女坂の間に位置する馬町エリアに店舗がありましたが、教科書を取り扱うようになった頃に現在の場所へ移転。

高瀬さんにとって母方の実家でもあるこのお店は、子どもの頃から何度も遊びに訪れていた思い出深い場所でした。しかし当時は、読書よりも外で遊ぶことに夢中。大学進学や就職も、本とは特に関係のない道へ進んだそうです。

店内に飾られている昔のお店の写真。

そんな4代目に転機が訪れたのは結婚した頃。子どものことを考え、仕事と育児の両立や今後のキャリアについて検討するうちに、本屋を継ぐ決意が固まったといいます。

本との出会いを生み出すブック&ジェラートカフェの誕生

まずは教科書販売の仕事を覚えることからスタート。しかし、教科書販売の繁忙期である1月〜3月が過ぎると、客足が落ち着いてしまう経営状況に直面します。それでも高瀬さんは「これは新しい何かができる好機」と捉えました。

ただ本を売るだけでなく、日常的に足を運んでもらい、本との出会いを増やしてもらうにはどうすればいいのか――。

「本屋と相性がいいのはやっぱりカフェだと思いましたが、既存のブックカフェとの差別化や、教科書販売が落ち着く夏場、学生の街・女坂で親しんでもらえる工夫が必要でした」。

そうして、試行錯誤の末に辿り着いたのが、気軽に立ち寄れる「ジェラートカフェ」の併設でした。

建物の老朽化やコロナ禍による補助金活用のタイミングも重なり、高瀬さんはお店の改装を決断。歴史ある本屋を、書店兼ジェラートカフェへとリニューアルさせます。

ジェラートは、店主自身もファンだったという大阪・堺市三国ケ丘の行列店「ricarica」から直接仕入れる体制を整え、2024年4月、本とジェラートカフェが融合した、坂の上のローカル書店として再スタートを切りました。

注文はカウンターで。コーヒーやカフェラテ、フロートなどのドリンクもあり、すべてテイクアウト可能。

甘さ控えめで後味のすっきりとした手づくりジェラートは、定番の『ミルク』をはじめ常時11種類ほどをラインアップ。『ドライいちじくカスタード』(9月~10月頃)や『ティラミス』(不定期)といった季節限定のフレーバーも好評です。

写真手前/定番の『ミルク』とリピート率の高い『黒ゴマ』のダブル。写真左/読書時に嬉しい結露しにくいグラスに注がれた『アイスコーヒー』。

「落ち着いて過ごしてもらいたい」という想いから、店内は木のぬくもりを感じる心地良い空間に。窓辺のカウンターやテーブル席で、ゆったりイートインすることもできます。

店内で購入した本はもちろん、自ら持参した本を読むことも可能。ジェラートやドリンクをお供にページをめくる時間は、旅や日常を彩る特別なひと時になりそうです。

学生さんへの温かなエールと、街巡りを楽しむ新たな仕掛け

主なお客さんは、近隣の学生や教員、保護者の方々。母校を訪れた卒業生が立ち寄り、新しく生まれ変わった姿に驚きの声を上げることもあったそうです。

人気絵本の雑貨や大阪鶴見の書店・正和堂のブックカバー、ハンドメイドのアクセサリーなど、雑貨も豊富。

また、「学生街にあるからこそ、学生にやさしいお店でありたい」という想いから、店内の壁面ギャラリーを学生向けに無料開放し、作品発表の場を提供しています。

イートイン席にある壁面ギャラリー。通常はKyoto Photosさんの京都写真を展示。

さらに創業100周年を迎えた2026年8月からは、地域を盛り上げるためのクラウドファンディングをスタート。

※詳細はこちら→https://camp-fire.jp/projects/960260/view

狛猿が鎮座する新日吉神宮や京都女子大学の絵画部とコラボし、オリジナルスイーツ『おさるのもなか』を開発して、街巡りが楽しめる仕掛けをつくろうとしています。

地域とともに歩む、これからの100年

「若い世代にもっと本に親しんでほしい」――そんな想いを胸に、観光地の賑わいから少し離れた女坂で次の100年を目指すブック&ジェラートカフェ。

京都を訪れた際はぜひ女坂をのぼり、心とお腹を満たす特別な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。店を出たあとは、狛猿が待つ新日吉神宮への参拝もおすすめです。

※12月~3月末の教科書販売の繁忙期はカフェ・ジェラート・雑貨販売を休止(書籍の購入は可能です)

※最新のジェラートのラインアップや営業状況については公式Instagramをご確認ください。

※クラウドファンディングは2026年9月29日終了https://camp-fire.jp/projects/960260/view

●カスガ東林書房 BOOK &Gelato Cafe

https://www.instagram.com/kasuga28/

https://kasugatorinshobou.com/

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