京都の玄関口、京都駅八条口から歩いて5分。宿泊施設や商業施設が建ち並ぶエリアに、昔ながらの風情を今に伝える湯葉の老舗「京ゆば三田久(みたきゅう)」の本店があります。

大正9年(1920)創業という歴史あるこのお店は、京都駅のみやげ店や清水寺近くの食事処「京ゆば三田久 清水店」でもその味が楽しめますが、じつは京都駅からほど近い場所に本店があるというのは、知る人ぞ知る京都の穴場スポットかもしれません。
京都の玄関口に佇む老舗湯葉店の風格

のれんが揺れる本店の入り口を見上げると、そこには老舗の風格が漂う重厚な木製看板。これは木造船の底板を運び込んでつくられたものだそう。店内にも荘厳な木製看板や美術品が飾られ、落ち着いた和の雰囲気が訪れる人を穏やかに包み込みます。

「京ゆば三田久」の湯葉は、国産大豆と京都の地下水を使用し、職人の熟練した手仕事でつくられています。店の奥には工房があり、職人さんたちの気配を感じながら買い物ができるのも本店の魅力。もし、生湯葉にちりめんじゃこを炊き合わせた『ゆばちりめん』を製造しているタイミングなら、店先に漂う香りに、思わず白ごはんが恋しくなるかもしれません。

三田久が誇る人気商品
数ある商品の中でも、特に根強い人気を誇るのが『京の極みゆば』と『甘ゆば』です。

●京の極みゆば
「これほど豆乳濃度の濃い湯葉は他にはない」と評される、三田久の看板商品です。添付のタレで味わうのはもちろん、醤油やオリーブオイル、塩などでシンプルに味わうのもおすすめ。湯葉本来の旨みを存分に堪能できます。
●甘ゆば
湯葉は豆乳を熱することで表面に張る薄い膜を引き上げてつくられますが、『甘ゆば』はその豆乳が煮詰まる最後の段階でとれる湯葉です。玉ねぎを加熱し続けると飴色になって甘くなるように、大豆も熱を加え続ければ色が濃くなってコクが増すのだとか。うどんや鍋料理などにちぎって入れたり、そのままちぎって食べたりするのもおすすめです。大量に買い込むファンもいる人気商品ですよ。
京都散策のお供にテイクアウトメニューも用意
湯葉の製造・販売の拠点である「京ゆば三田久 本店」では、2025年からテイクアウトメニューの販売を開始しました。これは本店周辺のホテルに宿泊している人が、カフェと間違って入店するケースがたびたび起きたことがきっかけだそうです。

●『ソイラテ抹茶』
散策のお供にもぴったりの『ソイラテ抹茶』。すっきりとしたほろ苦さは暑い時期でも飲みやすい風味です。店の目の前の道は東寺道。店を出て右へまっすぐ進めば世界文化遺産の「東寺」にたどり着くので、三田久の『ソイラテ抹茶』を片手に京都の日常を感じながら歩いてみるのもおすすめです。「コーヒー派」の方は『アイスコーヒー』のテイクアウトをどうぞ。

●『汲上ゆば』
湯葉をつくるために豆乳を加熱し出した最初のほうで、豆乳ごと汲み上げた湯葉を『汲上ゆば』といいます。なめらかでとろけるような食感は、こばらが空いた時や、暑さで食欲がない時期でも最適。『汲上ゆば』は醤油をかけて紙カップで提供されるので、手軽に京都の味が楽しめます。
湯葉の可能性を広げるコラボレーション
湯葉は割烹や仕出し屋など、日本料理でおなじみの食材ですが、「湯葉をもっと広く使ってほしい」という想いから、さまざまなジャンルの料理店とのコラボにも積極的に取り組んでいます。
三田久の本店と同じく、京都駅の南エリアにあるスペイン料理店「アブラモス」と、五条にある姉妹店「サントレス」とのコラボレーションでは、まず三田久の全商品をレストランに提供し、3ヶ月かけて複数のオリジナルメニューを開発。2024年11月から提供が始まり、現在(2025年夏時点)でもコラボメニューが楽しめるそうです。
また、昭和50年(1975)に西大路七条で創業した「笹寿し伍十」とは、湯葉を使った寿司を開発しました。夏の間はお休みですが、秋には復活予定とのこと。こちらも見逃せません。

京都駅から徒歩圏内にある老舗湯葉店。昔ながらの雰囲気の中で、京名物の湯葉を買ったり、テイクアウトしたりする時間は、きっと素敵な京都体験となるはず。京都駅にお越しの際は、八条口側に残る貴重な本店の雰囲気と「京ゆば」を体感しに、足を運んでみてはいかがでしょうか。
■京ゆば三田久(きょうゆばみたきゅう)
https://www.instagram.com/mitakyu_official/
■京ゆば三田久 清水店