毎年4月1日~30日(1日4回公演)に開催される
祇園甲部の春の舞踊公演「都をどり」。
井上流の振付・指導による趣向を凝らした演目が
約1時間、流れるように続きます。
祇園甲部歌舞練場の庭園では
桜が残りつつもツツジが咲き始めていました。
豆そめさんのお点前を間近に拝見しながら
とらやの和菓子を頂戴します。
2016年のテーマは、
【名所巡四季寿】(めいしょめぐりしきのことぶき)。
京都にとどまらず、姫路や奈良の名所も登場するのが
今年の特長のひとつといえます。
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■第一景 置歌
「都をどりはぁ~、よーいやさー」の掛け声で幕が開き、サイドの舞台から都をどりならではの青地の着物に袖を通した舞妓さんたちが登場。銀襖を前に踊ります。これから披露される全景を説明する序曲にあたります。
■第二景 城南宮枝垂梅香
舞妓さんが袖に入ったのち、舞台背景だった銀襖がばーんと開き、現れるは城南宮の神苑。今年の恵方にある神社ということで題材になったようです。城南宮は梅の名所。梅に彩られた舞台で舞妓さんたちが踊ります。城南宮といえば、神苑の小川の傍で行う「曲水の宴」が有名ですよね。それを彷彿とさせる振付がありました。舞台となっている寺社の知識があると、より面白く観覧できますね。
■第三景 毘沙門堂藤小波
伝教大師・最澄のご生誕1250年目を記念し題材に選ばれたのは最澄手彫りの毘沙門天をまつる京都山科の「毘沙門堂」です。桜や紅葉も有名ですが、藤棚もあるんですよ。この藤の花咲く毘沙門堂が第三景の舞台となりました。目を引いたのは舞台演出。藤の花を天井から地面へと舞台いっぱいに吊るし、その花の向こうや合間に4人の芸妓さんが立ち並びます。彼女たちの前にはうっすらとした沙幕がおろされ…まさに妖艶。舞手の芸妓さんは藤の花の化身でしょうか。幻想的なムードに酔いしれる一幕でした。
■第四景 春日造替祝舞楽
式年造替が行われている奈良の春日大社。2016年の秋に完了することを祝っての題材です。舞台の下からゆっくりと現れたのは2人のイケメン舞人と蝶の羽を背負う少女の舞人2名。奈良・春日大社…その舞台背景に鹿の姿を探してしまったのは私だけでしょうか(笑)
■第五景 落窪姫末繁昌
ここでちょっと趣向を変えて、演劇色のある演目となります。平安時代のシンデレラストーリー「落窪物語」のお話です。浄瑠璃の語りは、現代人にも分かりやすくなっているので安心。しかし侍女のあこぎちゃんとの別れのシーン…あんなに別れ惜しんでいたのに次のシーンですでに一緒だったところにはびっくりしました(笑)きっと道頼との結婚の段取りが付いたあと、新居に呼んでもらえたのだと補完しておきます!(何か説明が入っていたなら聞き逃しです。すみません)
■第六景 芭蕉庵紅葉遊戯
第五景のあと、舞台は暗転。照明が灯るとともに舞台を彩っていたのは赤橙黄に染まる紅葉!題材は、一乗寺の紅葉名所「金福寺」です。金福寺には江戸時代の俳人・松尾芭蕉ゆかりの芭蕉庵という建物があります。荒廃していた芭蕉庵を再興したのがおなじく俳人の与謝蕪村。2016年は与謝蕪村の生誕300年。これを記念した演目です。秋を待ち遠しくさせるような、じつにあでやかなステージでした。音楽と舞と照明がともなったフィニッシュもかっこよかったです。
■第七景 三千院雪見風流
襖でしめきったどこか陰鬱な室内…それは悲し気な女性がそこにいるから。襖が開くと、白雪積もる紺碧の景色。しんしんと雪が降り続く奥行ある背景を前に、浮世を捨てた女性の儚い舞が続きます。最後はパステルカラーの着物をまとった舞妓さんが登場。女性の心も観客の心も、その愛らしさでほんのり温めました。
■第八景: 姫路城桜霞
フィナーレです!かがり火灯る姫路城を前に10人の舞妓さんのシルエットが浮かび上がるクールな演出から始まりました。そのあと舞台は明るくなり、出演者全員がステージにならびます。白鷺城をバックに、豪華絢爛なステージでした。
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「寿」とテーマタイトルについているのは
様々な記念事を取り上げていたからなんですね。
都をどりでは、音声ガイドの貸し出しやパンフレット販売を
会場にて行っています。
各演目についての詳細が分かるので
舞台がより良く楽しめるのでおすすめです。