梅の名所「北野天満宮」の社殿前に1本のきれいな梅が咲きます。
大勢の人がその梅の木から一定の距離をとって囲み、
写真を撮ることに夢中になっていました。
撮影の邪魔にならないようにと、
木に近づく人はいません。
するとひとりの老人が
とてとてと一定の距離をやぶって木に近づき、
梅をじっと眺め始めました。
一定の距離をとっていた人は一瞬驚いた顔をしましたが、
シャッターを押すのをやめ、老人を、そして梅の木を
おだやかな表情で眺め始めました。
きれいな花を写真におさめることに一生懸命だったけれど、
何か大切な時間を思い出したのかもしれません。
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