- 約500人が列をつくって巡行する葵祭。これは「路頭の儀」と呼ばれる葵祭のハイライトです。行列の参列者は、それぞれに役職があります。列の警衛を担当するといわれている山城使、雅楽を奉納する陪従(べいじゅう)…そしてもちろん「ヒロイン」も存在します。ヒロインの名前は「斎王代」。京都市内の独身女性から選ばれ、毎年「今年は○○のお嬢さんやて」と京都の町で大きな話題を呼びます。そんな彼女の巡行順は行列の最後のほう。十二単のあでやかな姿をひと目見ようと、沿道の見物客はヒロインの登場を心待ちにしています。
- 平安王朝風の装束、何に使うか分からない道具類…現代の私たちにとって目新しい姿で参列者は歩きます。それぞれの役目にあわせた色とりどりの衣装に身を包み歩いていく、その様子はまるでファッションショー。もちろん衣装だけでなく、髪型や化粧も平安時代のことを研究し再現したもの。まさに現代によみがえった「平安王朝コレクション」さながらなのです。
- 行列に華を添えるのは人物の装いだけではありません。まずは「御所車」。写真では伝わりませんが、ギシギシギュッギュッと思いのほか大きな音を響かせて進んでいく様子が迫力満点です。そして「花傘」。風流傘と呼ばれるもので、造花が彩り豊かに飾られています。ほかの祭りでも見られる道具ですが、葵祭の風流傘は随一の美しさを誇るといわれています。
- 平安貴族の衣装や小物、御所車…。そんな雅やかな行列が歩く京都は現代においても絵になる舞台が整っています。まずは京都御所。建礼門を背景に行列が進む姿は、平成の時代とは思えないほど風流。次に下鴨神社の糺の森。新緑の美しい季節を迎えた糺の森で、こもれびさす中の行列はじつに神秘的。普段は地元の人で行きかうのどかな森が別世界のようです。そして上賀茂神社。葵祭の行列が通った瞬間、平安絵巻の優雅な世界に変わります。清らかな境内がぱっと華やぐ瞬間です。