2020.09.01
織田信長の天下統一目前に起きた「本能寺の変」。主君の信長を討った明智光秀は、その前後、どんな行動をしていたのでしょう。今回は「本能寺の変」や、その後に起きた「山崎合戦」ゆかりの地に注目。戦国の世を生きた光秀の足跡を辿ります。
光秀、西へ
大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公・明智光秀。信長のもと、丹波攻めをはじめとした幾多の戦や京の政務など多方面に功績を残し、近江の滋賀郡や丹波国を与えられ、領国経営では民のための政策を打ち出しました。連歌や茶道などの教養も身に付けていたといいます。
信長の重臣として天下取りを支える中、天正10年(1582年)、信長より徳川家康の接待役を拝命。信長の拠点だった安土で盛大に家康をもてなしますが、その任を解かれ、備中(岡山)への出陣命令が下されます。中国攻め(※)の最中にいる豊臣秀吉から信長のもとに援軍要請が届いたためでした。
※毛利氏の勢力圏だった中国地方への進攻戦
「本能寺の変」前後 光秀の主な動き
- 5/15~17 秀吉の援軍を拝命
- 安土で家康の接待中、信長に秀吉の援軍を命じられ、居城のひとつ坂本城(滋賀)へ戻ります。
- 5/26 亀山城へ
- 光秀が信長の命で丹波攻めを行う際、拠点として築城した亀山城(亀岡市)へ移動。
- 5/27 愛宕神社参拝
- 武将の信仰も篤かった愛宕神社でくじを何度も引いたという光秀。翌日、戦勝祈願の連歌会を開催。
- 5/29 信長入京
- 信長自身も西国へ出陣するため入京。信長は本能寺、嫡男の信忠は妙覚寺を宿所とします。
- 6/1 亀山城から出陣
- 亀山城を出立し亀岡市と京都市の境にある老ノ坂峠を通過。桂川を渡り本能寺へ。
- 6/2 本能寺の変
- 未明、本能寺を襲撃し信長を討ちます。続いて二条新御所にて信忠を討ち、光秀は近江に戻ります。
- 6/9 再び上洛
- 安土城に入城するも再び京都へ。秀吉が京都へ進軍していることも知ります。
- 6/13 山崎合戦にて敗北
- 天王山の麓で秀吉と対決。光秀は小栗栖(伏見区)で落ち武者狩りに遭い落命したといわれます。
本能寺址・二条殿址周辺
夜明け前の襲撃
6月1日の夜、西を目指して亀山城を出発した1万以上に及ぶ光秀軍は進路を都へ変更。この時、謀反の意を知っていたのは、主な家臣のみだったといいます。当時、四条堀川付近にあったという本能寺。2日の夜明け前に襲撃し、信長は自害へと追い込まれました。本能寺から約1キロ先の妙覚寺にいた信忠は、その東隣の二条新御所へ移動。光秀軍を迎撃するも自刃して果てました。妙覚寺は信長も頻繁に利用した宿所で、現在は上京区にあります。二条新御所は、元は公卿・二条家の邸宅(二条殿)。ここを気に入った信長が自身の宿所にした後、誠仁親王(正親町天皇の皇太子)に献上したといわれます。
- 二条殿址(二条新御所)
- 本能寺址
然花抄院 京都室町本店ぜんかしょういん きょうとむろまちほんてん
カステラは信長や光秀の時代に長崎へ伝来したという南蛮菓子が元。『「然」かすてら』は、丹波黒豆を食べて育った鶏卵でつくる濃厚なカステラ。併設カフェのメニュー『茶庭ノ膳』(1485円)でも味わえます。
- 中京区室町通二条下ル蛸薬師町271-1
- 075-241-3300
- 11:00〜18:00(L.O.17:30)
- 不定休
- 地下鉄烏丸線・東西線「烏丸御池」駅から徒歩6分
- https://zen-kashoin.com//
丸久小山園 西洞院店まるきゅうこやまえん にしのとういんてん
当時茶道は武将のたしなみ。宇治茶の老舗「丸久小山園」は各茶道家元や寺社御用達で有名です。茶房では人気のスイーツを抹茶とのセットで一服どうぞ。
- 中京区西洞院通御池下ル西側
- 075-223-0909
- 物販9:30〜18:00 茶房11:00〜L.O.17:00
- 水休 (祝日の場合は営業)
- 地下鉄烏丸線・東西線「烏丸御池」駅から徒歩6分
- https://www.marukyu-koyamaen.co.jp/
大山崎
謀反の12日後
信長父子襲撃後、京都や近隣諸国は混乱に見舞われます。光秀は近江制圧や朝廷の根回しなどに奔走。一方、謀反を知った秀吉は、毛利氏と和睦し京都へ急ぎ戻ります。その両者が天王山麓の小泉川付近で対峙し、激突したのは13日の夕刻頃(山崎合戦)。光秀は敗北し、一旦勝龍寺城へ逃げ込み、そこから坂本城へ戻る途中で絶命したといいます。合戦の舞台は現在、自然豊かでのどかなまち。「宝積寺」や天王山に当時の伝承も残ります。なお「離宮八幡宮」は、神官が油を搾る道具を発明して以降、荏胡麻油の製造・販売で栄えた地。今期の大河ドラマで光秀の主君と描かれた斎藤道三の父は、この地の油売りだったといわれます。
- 天王山の旗立松は秀吉が自軍の士気を高めたという伝承地。そばの展望台から両軍が対峙した古戦場も見渡せます
宝積寺ほうしゃくじ
- 乙訓郡大山崎町銭原1
- 075-956-0047
- 閻魔堂9:00~14:50 寺務所~15:00
- 境内参拝自由、堂内400円
- JR京都線「山崎」駅・阪急京都線「大山崎」駅から徒歩15分
- https://takaradera.net/
離宮八幡宮りきゅうはちまんぐう
- 乙訓郡大山崎町大山崎西谷21-1
- 075-956-0218
- 境内参拝自由
- 6:00~17:00 社務所9:00~17:00
- JR京都線「山崎」駅下車すぐ、阪急京都線「大山崎」駅から徒歩3分
- http://rikyuhachiman.org/
明智光秀ゆかりの城へ
丹波・丹後平定をはじめ京都で活躍した明智光秀。京都府各地には光秀やゆかりの人々の城跡が残り、様々な歴史を伝えています。
丹波亀山城(丹波亀山城跡・大本本部内)
光秀が丹波平定の拠点とした城跡。本能寺の変もこの城から出陣しました。近くの「麒麟がくる 京都大河ドラマ館」では京都・亀岡限定の史実展示も開催中です。
- 0771-22-5561(大本本部みろく会館総合受付)
- 「ギャラリーおほもと」の入館券(300円)購入で見学可能
- 「京都」駅からJR山陰本線で「亀岡」駅下車→徒歩10分
勝龍寺城(勝竜寺城公園)
山崎合戦の後、光秀が人生最期の夜を過ごしたとされる城跡。今は公園として整備され、光秀と娘のガラシャ、細川藤孝・忠興について映像やパネルで紹介する展示室も開館。
- 075-955-9515(長岡京市商工観光課)
- 入場無料
- 「京都」駅からJR京都線で「長岡京」駅下車→徒歩10分
福知山城
光秀拠点の城。現在は復元した天守閣から城下町を見渡すことができます。まち歩きの時は、古地図と現在の地図を見比べながら城下町が散策できるアプリの利用もおすすめです。
- 0773-23-9564
- 入館料330円
- 「京都」駅からJR山陰本線で「福知山」駅下車→徒歩15分
御城印を集めませんか
登城記念にぴったりの「御城印」。光秀やゆかりある人々に関わる京都府域の城の中で御城印を販売しているのは現在6ヵ所。現地に行ける時は記念にどうぞ。
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- 丹波亀山城 亀岡市
- 販売場所:大本万祥殿受付
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- 勝龍寺城 長岡京市
- 〈城主細川藤孝書状版〉※2種あり
- 販売場所:長岡京市観光案内所ほか
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- 福知山城 福知山市
- 販売場所:福知山城天守閣受付
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- 山家城
(山家城址公園)綾部市 - 販売場所:あやべ観光案内所
- 山家城
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- 宮津城
(宮津城址)宮津市 - 販売場所:天橋立駅観光案内所ほか
- 宮津城
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- 田辺城
(田辺城跡〈舞鶴公園〉)舞鶴市 - 販売場所:田辺城資料館
- 田辺城