2020.03.02
平安時代、都から大覚寺方面へ行く際に貴族たちが通ったとされる「千代の古道」。多くの和歌に詠まれ、現在その道中には石標が置かれています。この石標を辿ったり周辺を散策したりしながら、春の京都を探しに出かけませんか。今回ご案内するのは、梅津から嵯峨へ北上するルート。平安の雅に思いを馳せながら、のどかなまち歩きを楽しみましょう。


千代の古道周辺を歩く
旅の起点は「梅宮大社」。御祭神に関する神話から、安産・酒造の神様として信仰されてきました。桜や梅の名所とも知られ、かつて江戸時代の国学者・本居宣長が神社に梅の木を寄進したという伝承が残ります。境内を出たら、千代の古道の石標を目印に住宅街を進みましょう。三条通に出たら斎宮神社に寄りつつ「車折神社」へ。御祭神の清原頼業公は平安後期の儒学者で清少納言の親戚。境内には様々な品種の桜が植えられています。参拝後は北側の鳥居を抜けて有栖川沿いへ。平安中期創建の遍照寺を通り過ぎれば、ほどなくして「広沢池」に到着。池の西に広がる田畑に囲まれた道を歩き、嵯峨天皇の離宮を前身とする門跡寺院「大覚寺」が終着地です。雅な春の風情を存分に味わいましょう。
梅宮大社うめのみやたいしゃ
- 右京区梅津フケノ川町30
- 075-861-2730
- 境内参拝自由
- 神苑9:00~17:00(最終受付16:30)
- 神苑600円
- 市バス「梅宮大社前」バス停から徒歩3分
- http://www.umenomiya.or.jp/

3/1(9:30〜16:00)は子授け・安産などを祈願する「梅・産(うめうめ)祭」。お神酒や神苑の梅でつくる梅ジュースなどの接待あり

神社で飼われている猫たちや野鳥の姿にも心が和みます

梅宮大社~三条通間にある古民家の並ぶ道沿いでは野菜の無人販売を行う家も
車折神社くるまざきじんじゃ
- 右京区嵯峨朝日町23
- 075-861-0039
- 境内参拝自由
- 社務所9:00~17:00
- 嵐電嵐山本線「車折神社」駅下車すぐ
- http://www.kurumazakijinja.or.jp/

画家・冨田溪仙が「車折神社」に献納した「溪仙桜」は早咲

JRや嵐電の電車が小さな橋を渡る様子がのどかな有栖川沿い
広沢池ひろさわのいけ
- 右京区嵯峨広沢町
- 市バス「山越」バス停から 徒歩5分

平安時代は観月の名所と知られた広沢池

池のほとりに建つ柔和な表情の観音像
旧嵯峨御所 大本山 大覚寺きゅうさがごしょ だいほんざん だいかくじ
- 右京区嵯峨大沢町4
- 075-871-0071
- 9:00~17:00(最終受付16:30)
- 堂内500円、大沢池300円
- 堂内は行事によって参拝不可の日あり
- 市バス・京都バス「大覚寺」バス停下車すぐ
- https://www.daikakuji.or.jp/

池のほとりが桜で色づく国指定名勝の大沢池。平安時代に嵯峨天皇の離宮の園池として造営されたと伝わります

広沢池~大覚寺の田畑が広がる古道では、いにしえの時を感じて
温故知新の日本茶ワールド
お茶のセミナーをきっかけに、日本茶の世界へ飛び込んだ元バリスタが営む日本茶スタンド。人気は抹茶ラテやほうじ茶のチャイ。緑茶の旨みを存分に味わうなら『玉露』がおすすめ。茶産業の盛んな京都府宇治田原町の農家から仕入れた茶葉を使い、3煎分の玉露がいただけます。3煎目は山椒、わさび、八角から好きなものを選んでフレーバーティーに。バリスタの経験を生かした発想で展開されるメニュー。まだ知らない日本茶の世界に出会う機会になるでしょう。
八十八良葉舎はとやりょうようしゃ
- 右京区嵯峨朝日町22-66
- 075-881-1881
- 10:00~18:00 不定休
- 嵐電嵐山本線「車折神社」駅下車すぐ
- https://www.instagram.com/8108kyoto/


『玉露』(850円・菓子付き/イートインのみ)

『八十八プリン』(450円) ミルクプリンの上には濃厚な抹茶餡

組み合わせの妙味を堪能
看板商品は初代が考案したひと口サイズの『しそ餅 梅』。2種の道明寺をブレンドした歯切れの良い餅で漉し餡を包み、塩漬けした赤紫蘇を巻いています。ほかにも、お客さんに評判の自家製餡を使った生菓子や赤飯、嵯峨の名所をイメージしたものなど多彩な商品を用意。春は『いちご大福』も人気です。
御菓子処 嵯峨嘉おかしどころ さがよし
- 右京区嵯峨広沢御所ノ内町35-15
- 075-872-5218
- 8:00~20:00 水休
- 市バス「広沢御所ノ内町」バス停から徒歩3分
- いちご大福の販売は仕入れ状況により変動するため事前問い合わせがおすすめ(4月中旬頃までの販売予定)

餡の甘みと紫蘇の酸味が爽やかに重なる『しそ餅 梅』(120円)、希少ないちご「とよのか」を包む『いちご大福』(小180円・中220円・大260円/写真奥)※税別

地元民御用達ベーカリー
京都の有名店で修業したのちに独立。人気の『湯だね食パン』(302円)のほか、自家製明太子ソースがポイントの『明太チーズフランス』(183円)、もちっとした生地でちりめん山椒を包み醤油を塗った『じゃこチーズ』(216円)、岩塩使用の『あん塩バターフランス』(183円)など、約50種のパンが並びます。
Pain De Quiパンドキ
- 右京区嵯峨広沢池下町76 ハイツマルゴ1F
- 075-882-8577
- 7:00~18:00
- 月休(祝日の場合は営業)、最終火休

イートインも可能。コーヒーは温冷ともに270円
